オメガ星団の中心領域
 2001.10.04
 オメガ星団(NGC5139)は,紀元140年頃,アレキサンドリアの天文学者プトレマイオスが明るい星座の一つに数えたケンタウルス座を代表する星団で,天の川銀河の中で最も大きく,最も明るい球状星団である。地球から約1万7000光年の距離に位置し,直径が620光年にも達する非常に大きい星団である。
 オメガ星団の中心領域には,数百万個もの星がひしめいており,地上の望遠鏡では個々の星を見分けることはできない。画面は,ハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている超高感度のWFPC2カメラが撮影した直径13億光年の中心領域である。この広角カメラの能力を以ってしても,これの広さの観測が限度であるとのことである。約6万個の星が詰め込まれているが,年令が約120億年位の古い星が多い。ちなみに,我々の太陽の年令は46億年である。
 画面で黄白色に輝いて見えるのは,この中心領域の大多数の星をしめる我々の太陽と同じ大きさの黄色矮星である。オレンジがかった黄色に輝く大きな星は,エネルギーのほとんどを使い果たして膨張し始めた赤色巨星である。直径は,我々の太陽の数百倍に膨れ上がっている。微かに青く輝くのは,矮星の段階から赤色巨星に進化しつつある星である。
 オメガ星団は,その巨大さ故肉眼でも見ることができる数少ない球状星団の一つで,地上からは南天の明るく小さい雲のように見えるため,よく彗星と間違えられるそうである。
Hubble